税務調査は特定の会社や業種にのみ集中するものではありませんが、それでも対象になりやすい業種として一定の傾向を挙げることはでき、中でも建設業は比較的税務調査に入られやすい業種ということができます。建設業が税務調査の対象になりやすい理由として以下のようなことがあります。
建設業が税務調査の対象になりやすい理由としては以下の理由が挙げられます。
・工期が数ヶ月~1年以上と長く、予定通りに完成しない可能性がある
・工事一件あたりが高額でそれを計上するかで利益の額への影響が大きい
・複数の売上計上基準が存在し、利益操作のために恣意性を介在させる可能性がある
では、実際に税務調査に入られたときに備えてどのような対策をしておけばいいのでしょうか?
建設業における税務調査で突っ込まれやすいポイントとして挙げられるのが、外注費と給与の区分です。
それぞれの基本的な定義から申し上げますと、
・請負契約に基づくものは「事業所得」として「外注費」
・雇用契約に基づくものは「給与所得」として「給与」
と処理することになります。
「外注費」なら源泉徴収の必要がなく、消費税の計算上消費税分は控除できます。
「給与」だと源泉徴収の必要があるうえ、消費税の計算上も控除ができません。
雇用しているということになると社会保険の加入の問題も出てきます。
そのため、実質的には雇用しているような状態でも、外注費として計上している事業主も多いでしょう。
そこで「外注費」を「給与」として認定されないためには、契約書類を整えておくことが必要でしょう。具体的な対策としては、作業現場ごとに請負契約書を作成して、当人にきちんと請求書を発行してもらうのが良いでしょう。
また、未完成工事支出金や完成工事原価の計上も、建設業の税務調査においては突っ込まれやすいポイントになります。
これに関しては、普段から工事台帳を作成しておくことが最善の対策と言えます。
工事台帳とは、工事ごとの未完成工事支出金、もしくは完成工事原価を取引順にして、材料費、労務費、外注費、経費の順に区分して書き込む台帳のことですが、これがあれば、取引ごとの経費の明細がひと目でわかります。
特に中小零細企業の建設業者が工事台帳を備えていると、それだけで調査官の印象は大きく変わります。調査官の求めに応じてすぐに取り出せるように保管場所をきちんと決めておき、台帳に基づいて各工事の進捗について明確に答えることができれば、それ以上深く突っ込まれることは少ないでしょう。
個人事業主として、建設業を営んでいる方にも税務調査が入る可能性はあります。
その場合特に突っ込まれやすいのは、「事業所得」と「給与所得」の区分についてですが、これについては、前述「外注費」と「給与」の区分と同様に、個人事業主側も請負契約書をキチンと発行・保管しておくことが最善の対策になります。
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